夏セミンゴ2018

「このグループに関して」 元は夏セミ2016の中級クラスの部屋です。 ここはディベートに関する資料を適当に貼っていくところです。 ここに書いてあるものは誰でも編集できるので、好きにコピペするなりして使ってください。また、誰でもまだ入ってない人を招待できるので、自大とかで資料見たいって人がいたら好きに招待してあげてください。使えそうだと思ったら、後輩にばらまいてもらっても大丈夫です。 何か質問とか要望があれば、コメントしてちょ。何でも答えるよ!多分!

Chapter.4 Criminal Justice - 概論

4つ目はCJSについて書きます〜。

 

(1)そもそも、なぜPunishmentがあるの?

 

Punishmentの目的としてよく言われるのは、以下の4つです。

 

(a)Retribution - 悪いことをしたことに対する懲罰。報いを受けさせるため。

(b)Rehabilitation - 犯罪者の心を更生させ、社会に再び復帰(Reintegrate)しても大丈夫

                             なようにするため。社会での再犯(second offense)を防ぐ。

(c)Deterrence - 罰則を設けることで、犯罪を未然に防ぐ。

(d)Segragation - 犯罪者が更生するまで隔離し、他者に危害を加えないようにする。

 

これらの分析はCJSでは「鉄板」ですが、これらはそもそもどういう背景から来ているのでしょう?

 

上の中で、(a)retributionと(b)rehabilitation, (c)Deterrence, (d)Segragationはそれぞれ扱いが違います。

(a)retributionは「応報刑論」という考え方から来ています。これは「特定の目的のために刑罰を課す」のではなく、「刑罰を課すことが正しいから課す」という考え方です。

ここでいう正しいというのは、「悪いことをして他人を傷つけたのだから、自分も苦しむべきだ」ということです。直感的には正しい(と俺は思う)ですが、実際のlogicはちょっと曖昧です。

これに対して(b)rehabilitation, (c)Deterrence, (d)Segragationは「目的刑論」という考え方から来てます。文字通り、「特定の目的のために刑罰を課す」考え方です。

法律である刑法の上には憲法がありますが、憲法には「法益(Legal Right)」という概念があります。これは、法によって守れらる利益、権利です。ここには生存権、選択の自由、移動の自由、身体の自由、等々があります。

そして、これらのrightやbenefitを守るために刑法を課す、これが上記の目的になります。生存権というRightを守りたいから殺人を法律で禁止し、罰則を設けることで殺人をdeterし、殺人を犯してしまった人は再犯をしないようRehabilitateし、Rehabilitateしてる間は外で犯罪をしないようPrisonなどでSegregateします。

 

この概念は下のサイトに詳しく書いてあるので、ぜひ一回読んでみてね!

刑法は何のためにあるのかクイズ - 症拠手記

 

(2)Punishmentは何を基準に決められるの?

 

Punishmentを決める上で重要なのは、Proportionalityという概念です。日本語で「罪刑均衡原則」と言いますが、これは「罰則は必要な分だけ、相応なものだけ課すべきである」という考えです。理由としては以下になります。

 

基本的に、権利はそれ自体とても重要なものです。生存権や移動の自由など、これらは全ての人に保証されるものであり、奪われるべきではありません。なので、誰かが犯罪を犯してしょうがなく権利を制限しなければいけないときでも、なるたけ奪いたくないのです。本当に必要な分だけ刑罰を課して、最低限の権利だけ奪うようにしたいということです。

 

では、その「相応な/必要な分だけ」とはどう決められるのでしょう?

よく使われるのは、以下の2つの基準です。

 

(a)Intention(動機)

(b)Consequence(結果)

 

(a)Intention(malicious Intention)は、どれくらい悪意を持って犯罪を行ったかです。

強い悪意を持って犯罪を行ったのであれば刑罰を重くしてより報いを受け入れるべき(Retribution)だし、より長い時間が更生(Rehabilitation)にかかります。

 

(b)Consequenceは、どれくらいの被害を被害者、社会にもたらしたかです。

より大きな被害をもたらしたのであれば、当面犯さないように刑務所に入れるべき(Segregation)だし、刑罰をより重くして周りの人々が同じような犯罪を犯すのを防ぐべき(Deterrence)です。

 

わかりやすい例としては、万引きは罰金、殺人だったら最悪死刑と、犯罪の種類によって刑の重さが変わることですね。

 

またIntentionの部分で刑が軽くなるのは「初犯だった、精神衰弱状態だった、他人に煽られた」などです。これらはexampleで使えるかと。

 

量刑について|刑事事件の基礎知識 | 刑事事件は東京の刑事事件に強い弁護士に相談|ヴィクトワール法律事務所(東京都日本橋)

  

(3)どういう種類のPunishmentがあるの?

 

日本では死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料の順になっています。

死刑(Death Penalty) - まぁ、まんま死刑。

懲役(Penal Servitude) - 刑事施設に拘置し、所定の作業あり(椅子とか作るやつ)。

禁錮(Imprisonment/incarceration) - 刑事施設に拘置。所定の作業話。

罰金(Fine) - まぁ、まんま。一万円以上。

拘留(detention/custody) - 監獄ではなく拘留所に拘置。刑期は1日から30日。

科料(Fine) - 一万円以下の罰金。

 

また海外では、コミュニティサービス(Community Service)というPunishmentがあります。これはイギリスから始まり、ヨーロッパに広まった刑罰の一種で、より服役者を社会内に包括し、刑務所の余剰人員を削減する政策として広まったようです。具体的には、例えばデンマークでは4ヶ月から2年の間に30時間から240時間、地域の公共機関(教会・福祉施設・図書館等)で、 無報酬の奉仕作業(掃除・営繕・整理作業等)を 余暇時間に行います。

 

あと、以下のものはよくCJS Debateで出てくる例です。知っておくとargumentのexampleで使えたり、POIで相手を困らせたりできるものです。

 

(a)正当防衛(Self-defense)

 

これは相手に危害を加えても罪に問われないケースの1つです。

自分や他人を守る、つまり権利を保護する目的であれば、犯罪者への危害というconcequenceがあってもpunishされません。例として、強盗が家に入ってきて襲われそうになった際に、自分と家族を守るために強盗にスタンガンを当てても罰されません。しかし、条件を満たさなかったりすると正当防衛とはみなされませんし、、防衛にためにやりすぎたりすると(素手で襲いかかってきた犯罪者を銃で殺す)、過剰防衛(Excessive self-defense)で罰されてしまいます。

この条件の考え方はCJS一般にも使えるので、詳しくは以下のサイトを見てみてください!

正当防衛の定義|正当防衛と認められるための5つの条件|刑事事件弁護士ナビ

 

これは多くのCJS Motionに出てきうる概念ですが、直接扱ったものには以下のようなMotionがあります。

THW allow the use of lethal force against intruders in defense of property

(BP Novice 2011 QF)

自分の財産への正当防衛として、殺人という方法が許されるか?というMotionです。

 

(b)緊急避難(Emergency evacuation)

これも相手に危害を加えても罪に問われないケースの1つです。

特定の危害(災害など)から自分や他人を守るために誰かに危害を加えても、罪には問われません。例として、猛犬に追いかけられて、やむを得ず他人の家に無断で入り込む場合も緊急避難ですね。住居侵入罪には問われません。しかし、これにも条件があり、かつ今回は被害を受ける相手が強盗ではなく一般市民ですので、より条件が厳しいです。例として、「それしか方法がない」などがあります。

 

直接は関係ないですが、有名なTHW ban abortion in all stages of Pregnancy(WUDC 2009 GF)の動画でWill JonesがGWのCormac Earlyから「胎児が人格を保有する人間であれば、胎児はabortionという殺人に対して正当防衛の権利を有するのではないか?」というPOIを投げられます。これに対してwill Jonesは「相手を殺す以外に自分を守る方法がなかった人を正当防衛で罰さないのと同じだ(女性にとっても、中絶以外に自分の体の所有権を守る方法はない)」という返しをしています。これは正当防衛や緊急避難の知識が前提にありますね。

これまた全然関係ないですが、Will Jonesがこの返事をドヤ顔でするシーン、超絶かちょいいです。CJSを勉強するとWill Jonesと同じくらい「かっちょいい返し」ができるようになるので、みんなもResearchしようね!

 

(c)未遂、予備罪

 

これらは逆にPunishされる側のexampleです。

上記で書いたように、punishmentはintention, concequenceで決定されます。

しかし、intentionだけでもpunishされる時があります。

1つ目が、未遂(Attempted crime)です。これは、銃を人に撃った時に外れても、殺人未遂で罰されるようなケースです。実際に被害者が生まれなくても、罰されます。しかし、実際に殺人を犯した時よりは減軽されるケースが多いようです。

 

2つ目は予備罪(Preparation of crime)です。これは、犯罪の「準備」をしたというだけで罰されるものです。

しかし、どの犯罪でも予備罪に問われるという訳ではなく、対象となるのは内乱予備罪、外患予備罪、私戦予備罪、放火予備罪、通貨偽造準備罪、殺人予備罪、身代金目的略取等予備罪、強盗予備罪の8種類です。イメージとしては「重めの犯罪」というメージでしょう。

 

これを扱ったMotionとしては、以下のようなものがあります。

THBT attempted crimes should have the same punishments as those that were

successfully carried out.(ICUT 2011 R4)

 

CJSについてはいっぱい書きたいことがあるので、そのうち概論(2)も作ろうと思います。

ただ通常のdebateであれば(1)(2)が基盤になるので、ぜひ練習で使ってみてね!