夏セミンゴ2018

「このグループに関して」 元は夏セミ2016の中級クラスの部屋です。 ここはディベートに関する資料を適当に貼っていくところです。 ここに書いてあるものは誰でも編集できるので、好きにコピペするなりして使ってください。また、誰でもまだ入ってない人を招待できるので、自大とかで資料見たいって人がいたら好きに招待してあげてください。使えそうだと思ったら、後輩にばらまいてもらっても大丈夫です。 何か質問とか要望があれば、コメントしてちょ。何でも答えるよ!多分!

Chapter.6 - Equality 概論(2) "Why they are poor?"

次はよくディベートで出てくる貧困層について、あれこれ書いて行こうと思います。

 

その前にお前概論(2)とか書いてるけどそもそも(1)書いてなくね?って思った人は正しいけど、(1)はもう少し概念的な話を書こうとしてて、あんまし気乗りしてなくて下書き中だからちょっと待て。

egaritalianismとか書こうと思ってるけど、長いンゴ。。。

 

世の中には色々なMotionがありますが、基本的には何か問題をsolveすることを目的としているので、対象となるのが、社会的に問題を抱える人であることが多いです。Poorだったりfemale、black、hispanic、muslim、person with disabilitiesなどです。

で、ひっくり返せばpoorに何するみたいなモーションやminorityがどうするみたいなモーション多いんですが、それらにはおんなじような「社会的弱者」に関する分析が出てきます。つまり一回知っていれば使いまわせるんですよ!今日はそれらについて書いて行こうかなと。

 

Why they are poor?

 

これはアメリカなどの先進国を想定においていますが、貧困層がなぜ貧困層なのかは色々な理由があります。Republican supporter(共和党支持者)などには「人々が貧困に陥るのはself-responsibilityだ」っていう意見があり、右派は大体自己責任と言います。これに対してdemocrat supporter(民主党支持者)は「人々が貧困に喘ぐのは自己責任ではない。環境や差別のせいだ」と言います。個人的にはこれが正しいと思います。どっかの有名な政治学者が"Poverty is a system", "Some are Destined to be poor"とまで言ってましたが、貧困は相当にStructualなものと言えるでしょう。

 

で、とある女の子が貧困の家庭に生まれたとします。彼女が将来残念ながら貧乏になってしまいやすい理由は以下の通りです。

 

(1)親が教育熱心でない可能性が高い。

(2)学校の教育環境が良くない。

(3)ジェンダー/人種の悪影響を受けやすい。

(4)金持ちの子供達に就活競争で勝てない。

(5)裁判で勝てない。

(6)犯罪をした後のヘルプがザコい。

→結果、Poorのままに・・・Vicious Cycleが発生してしまいます。

 

(1)親が教育熱心でない可能性が高い。

子どもがどれくらい勉強するかは、本来の能力に加えて親がどれくらい熱心かで決まります。裕福な親は自分の学歴や勉強の能力がどれくらい重要か分かっているので、子どもに熱心に勉強をさせますし、その重要性も教えます。

それに対して貧困層の親は自分もきちんとした教育を受けてこなかったことが多いので、教育の重要性を分かっていません。中には「俺は中卒だが人生幸せに生きているぞ、学校の勉強なんて役に立たないこと習って何になる?早く働け。」なんてことを言う人も普通にいます。

もちろん、自分の学歴のなさで苦しい思いをしてきた人もいるので教育熱心な人もいるにはいます。しかし、高学歴な両親に比べて、熱心な人の割合はかなり少ないでしょう。貧困層には片親で満足に子どもの面倒を見れない親、麻薬中毒の親、お父さんがギャングで全然家に帰ってこない、帰ってきても家が荒れてしまう、そんな環境で子どもが勉強をする意思は育ちません。

 

自分で親は選べない、そこから格差が生まれてしまう、みんな大好きBirth Lotteryの問題ですね。

その格差がProblemになりうるのが以下のMotion

THBT all children should be surrendered to state’s care upon birth(UADC 2013 GF)

かなと。

 

(2)子どもの住環境が良くない。

 

家族が住む場所の特徴は、家賃に大きく影響されます。

東京で言えば裕福な家族は世田谷などに、お金がなければ山谷などで生活保護に頼ることになります。

日本はかなり平等な国なのでそこまでオワコンな差はありませんが(まぁなくはないんだけど)、アメリカなどに行くと格差はすごいことになります。これは前アメリカのとても裕福な地域に住んだことのある後輩に聞いたのですが、その後輩が住んでいた地域には、マクドナルドがなかったそうです。ちょっと笑ってしまった。

 

貧困の地域に住むとどうなるか?

貧困層が多く住む地域、すなわち金持ちがいない地域は税収が低い上に福祉に頼る貧困層が多いので、Local Governmentにお金がありません。公的サービスが終わっているので、生活で大きな不利益を受けます。貧困層の家庭で私立学校に行くのは無理なので公立学校に行くことになりますが、公立学校も行政から十分な支援がないので、十分な教育が受けれません。これが顕著に現れているのがアメリカで、地域によっては

(a)楽器が揃えられない上に音楽を学んだ先生が採用できないので、音楽の授業ができない。

(b)ボールなどの器具が揃えられない上に体育館は老朽化して走ったら床が抜ける。直すお金はないから体育の授業はなし。

(c)先生の給料が低いため、優秀な先生は集まりづらく、インセンティブも地べた這ってる。かつ金がないから教科書が揃えられない!

なんて、考えられないことが起きています。

 

また、周りの生徒も勉強を頑張ろうという生徒が少ないため、全体として教育が軽視される環境が生まれてしまいます。ギャングやチンピラも多くそこに染まってしまう友人も多いため、学校に行かないっていうことが普通になってしまいます。学校に行っても不真面目な生徒が多くて学級崩壊状態、、、なんて状態だと授業の効果はありませんよね。

 

また日本でもよくある話ですが、ある程度お金があると塾(clum school)に行ったり家庭教師(Tuitor)を雇って学力をあげます。貧困層はそれも出来ないのでどんどん格差が広がっていきます。

 

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アメリカが認めた「教育危機」の内実~はたして万能薬はあるのか(北野秋男) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)

 

1%の「庶民の敵」が貧しい子供を救う | アメリカ | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 

また、家が貧乏なため、かつ親が栄養や健康に対する知識/意識が低いため病気になりやすいです。野菜は高いしお腹いっぱいにならないので、ジャンクフードに手が伸びてしまいます。

しかし、保険にも入っていない人が多い上に病院に行くお金もありません。かつ病院の方も、多くの人を受け入れるキャパがないので満足な治療が受けれません。Public Hospitalにfundが十分に行かないので、医者も看護師もベッドも足りないのです。これはちょっと前の記事であげた「イギリスの公的医療サービス(NHS)の崩壊」に近いものがありますね。

患者数は貧困地域だとドラッグが大流行することもあって、膨大な数に昇ります。とても捌ききれませんし、治療したとしても酷い住環境、ドラッグのaddictionによってまた病院に戻ってきてしまいます。

この状態だと児童の学習能力も下がりますし、学校を休みがちになります。ますます授業にcatch upできなくなります。 

 

特にeducationなどのMotionでよく出る分析は、educationは積み重ねが大事ということです。算数で考えると分かりやすいですが、小学校で四則演算などの基礎を習うのに、一番最初の小学校でちゃんと勉強せずに育ってしまうと中学校の授業はさっぱり分かりません。そこから授業について行けずサボりがちになり、下手したらドロップアウト、、、児童が授業に集中できないのはその後のeducation全てを無に帰してしまうnegative effectがあるのです。

 

児玉 真美「救急車に乗せて患者を“捨て”にいく病院」

 

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この住む地域によって子供の学習環境や生活環境に多くの差が出てしまい、それがひいては将来の所得や健康的な生活に繋がってしまう事象がproblemとなるのが、以下のMotionでしょう。

 

THW create public housing for the poor in wealthy areas(WUDC 2013 R1)

金持ちの住んでる地域の素晴らしいインフラ(教育、病院、ドラッグと犯罪のない環境)を、無理やり貧困層に与えるモーションですね。

 

(3)ジェンダー/人種の悪影響を受けやすい。

 

地域によっては、特に保守的な地域では学習を妨げる要因が女性/マイノリティに働きます。

女子児童に向かって「どーせ結婚するんだから、そんな勉強しなくても大丈夫よ。」なんていうお年寄りは日本でも未だにいます。ここまで行かなくても「まぁ最悪女の子は結婚すればいいからね〜」くらいはある程度年次が上に行けば存在してしまいます。

また黒人などの間では勉強すると「白人の真似事すんじゃねぇよ!」と言われて仲間内ではぶられるケースもあります(初めて聞いた時びっくりした)。もちろんかなり一部のケースですが、貧困層で真面目に勉強してると「うわ、なんで真面目に勉強しとんキモwwwww」と言って茶化されて勉強しづらいなんてことは普通にありえます(僕の行ってた中学校ですね)。

 

(4)金持ちの子供達に就活競争で勝てない。

 

上でもうお腹いっぱいなくらい、貧困層が如何に勉強がしづらい環境にあるかを書きましたが、それに加えて大変なのが、就活はゼロサムゲームの要素が強いということです。

このゼロサムゲーム(Zero-sum Game)というのはディベートでもちょこちょこ使う単語なので覚えといて損はないです。全体のbenefitの量が決まっていて、誰かが得をした場合、誰かが代わりに損をするゲームのことで、株式投資がよく例えとして使われます。

 

基本的に、特定の集団内の仕事の種類や量は決まっています。金持ちの子供がIvy leagueのuniversityを卒業して給料の高い仕事、コンサルタント投資銀行(Investment banker)、銀行、弁護士(Lawyer)を取ってしまうと、残りはBlue Color jobだったり、賃金の低い仕事しか残りません(少し極端なillustですが)。貧困層が多少頑張って勉強しても、お金持ちの子供達より優秀にならない限り企業は彼らを採用しないのです。

 

(5)裁判で勝てない。

 

さらに極め付けとして、貧困層だと罪に問われやすい/裁判で勝ちづらいという仕組みがあります。

アメリカでよく話題になるStop and Friskというものがあります。要は職質なのですが、警察が職質の対象として黒人/ヒスパニックを白人よりはるかに高い頻度で、かつ疑いの目で選ぶので、起訴される可能性が高まります。まぁただの差別です。実質的にRacial Profilingであるとリベラルからディスられてます。

かつ裁判になった際に、金持ちは民間の敏腕弁護士を雇って訴訟を有利に運べるのに対して、貧困層は国選弁護人以外の選択肢はありません。最低限の能力は担保されていますが、incentiveなどの面で民間の弁護士に対して著しく劣ります。

金持ちが最高の腕前の弁護士を集めてドリームチームと評された有名な事件は、O.Jシンプソンの事件ですね。みんなやったことをあると思いますが、Motionの

THBT every criminal defendant should be required to use a government provided defense lawyer(WUDC 2008 R5)では鉄板のexampleです。

O・J・シンプソン事件 - Wikipedia

 

結果的に、同じ犯罪をしていても貧困層のMinorityのが起訴されやすく、かつ弁護士の能力差で有罪になりやすいのです。不平等この上ない。

 

超どうでもいいですが、よく音源を聞く人なら知ってるかも知れませんがWUDC 2012 GF "TH supports nationalism"のMember of Opposition、Daniel Swainがイントロの一部分で"or the likelihood that you gonna be frisked by police"と言って、アメリカが人種によって分断されていることを言いますが、これはStop and friskのことを言っています。 

論争的なストップ&フリスク慣行 | アメリカ ウオッチ Yuko's Blog

 

(6)犯罪をした後のヘルプがザコい。

上記で見たように、貧困層はそうでない人々に比べて

(A)貧困ゆえ、窃盗(theft)などの犯罪を犯す可能性が高い。

(B)Racial Profilingによって罪に問われやすい。

(C)生活の苦しさから逃れるために、ドラッグなどに手を染めやすい。

などの理由で刑務所に入る可能性が高いです。

すると、刑務所内で職業訓練などを受けても、出てきた時にCriminal Recordのせいで企業に採用されづらく、無職の可能性が高くなります。貧困に戻ってしまうのです。すると再犯の可能性が高まり、負の連鎖が始まってしまいます。Recidivismの問題が発生してしまいます。

また刑務所から出てくると周りからの「あの人、ムショから出てきた危ない人よ・・・ヒソヒソ」って感じでStigmaが生まれてしまうので、自分を受け入れてくれない周囲へのヘイトによる犯罪を誘発してしまいます。

 

この問題を解決しようとするのが以下のMotionでしょう。

 

THW erase criminal records of individuals who have been punished.(Icho Cup 2013 OF)

犯罪歴によって、刑罰の1つの目的であるRehabilitation、Re-integration to societyができなくなってしまっているので、それをsolveするMotionです。

また似たようなMotionで

That employers should not have access to job applicants’ criminal records(Korea Australs 2011 R6)ってのがあります。基本的に司法や警察(Public Officer)は犯罪歴を見ることができますが、民間人、市井の普通の人は見れなくすることで上記の雇われない問題、Stigmaの問題をsolveしようとします。

 

このMotion動画があって、上手い人達がやっててかつ音質も良くて超分かりやすい!!!(これ重要)ので、是非見てみてね。個人的なオススメはPMとLOが一番で、次にGWかな。

このモーションとても好きなMotionのうちの1つで、かつ練習する上でもとても良いモーションです。理由は知らんけどこれムッチャ練習で出て、俺がICUで2年生の時一年間で6回くらいやった記憶がある。

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あとはどの大会で出たか忘れたけど、

出所した元犯罪者のアイデンティティを変更するよう政府がサポートするMotionもあります。名前などを改名したり、究極は整形までサポートして別人になることで、上記の出所後の問題を解決しようというMotionですね。

これはMotionでなくても、Oppのカンプラとかで打ってもいいかも知れませんね。出所後の扱いが問題となるような話になった時のSolutionとして。

 

ってとこまで書いたけど、まさかのまとめたようなページがあったわ笑

まぁこんな感じです!これら一個一個はそこまで難しい話でもないし、時間があれば思いつくかもしれません。でもこれからBPが始まってプレパ時間が短くなってくると「パッと思いつく」ことが重要になってきます。ある程度まとめて知識として持っておいて、すぐ使えるようになってね〜。

貧困の悪循環 - Wikipedia