夏セミンゴ2018

「このグループに関して」 元は夏セミ2016の中級クラスの部屋です。 ここはディベートに関する資料を適当に貼っていくところです。 ここに書いてあるものは誰でも編集できるので、好きにコピペするなりして使ってください。また、誰でもまだ入ってない人を招待できるので、自大とかで資料見たいって人がいたら好きに招待してあげてください。使えそうだと思ったら、後輩にばらまいてもらっても大丈夫です。 何か質問とか要望があれば、コメントしてちょ。何でも答えるよ!多分!

Chapter.8 Economics - 概論 (2) Corporation

2つ目は企業です!

 

経済のベタな話は(1)で書いたけど、企業は企業で色々書くことがあるので、こっちに書きます。経済のディベートではあんまよー分からんくても「大企業はくそでぇ〜」ってdisっとけば勝てる時があったりするから笑、是非読んでみてね。

 

(1)株式企業は何を目的としてるの?

(2)企業の権利(Corporate right)

(3)企業の権利の制限

(4)その他の株式企業の問題は?

 

(1)株式企業は何を目的としてるの?

 

企業の形態には株式会社から合同会社、有限会社など複数ありますが、基本的に世の中で、ディベートで争われるのは株式会社のみです。それの目的、character、問題を押さえておきましょう。

 

企業は基本的には「金儲け」を目的とします。

最初にビジネスを始める際にまずは元手が必要となります。これを集めるには

(A)知人から金を借りる

(B)銀行から金を借りる

(C)Venture Capitalから金を借りる(あるいは株式発行でもらう)

(D)株式を発行してそれを買ってもらう

など色々方法があります。debateでよく出てくるのは下3つですね。

 

このうち、一番人目に触れるのは株式を発行することです。これは会社の所有権を株式に分割して、値段をつけて売ることです。

売る際には「株式を買ってください!株1つにつき、配当をあげます!」という仕組みです。購買者は最初にお金を払うと株が手に入り、配当などのお金が入ります。この方法で企業はお金を集めて、事業を行います。

また、基本的には会社が儲かれば儲かるほど、配当は増えていきます。将来の配当が増えると予想すれば他の人から株を買って、将来の配当を期待するわけです。

また、人によっては「この会社は将来うまくいかないから、株式の値段(株価)は今がマックスだろう。高いうちに売ってしまおう」という方法で儲けることもできるのです。

超ざっくりですが、これが株式です。

 

では、株式会社はなぜ儲けることを目的とするのでしょうか?

これはpracticalな理由と、principleの理由があります。

practicalな理由としては、儲かるとみんなが幸せになるからです。会社が儲かれば社長の給料も社員の給料も理論的には増やせますし、儲かった分を元手に事業を拡大し、また儲けることができるのです。

principleな理由としては、株式会社の形態に現れています。

 

このためには、株式会社は誰のもの?というのを理解する必要があります。株式会社は社長のものでも社員のものでもなく、株主(shareholder)のものです。

株主はみんなで社長を選び、その社長に「会社を儲けさせて、株主に還元してください」と言います。社長はその義務を果たす必要があるため、儲けなければならないのです。社長が儲けることに失敗すると、株主から解任され、次の社長が着くことになります。また会社の利益を犠牲にして他企業や自分の利益を追求すると、背任罪として罪に問われます

よくdebateで「corporations are profit seeker」と言われます。株式会社にとって儲けることは目的でもあり、義務でもあるのです。

 

(3)企業の権利の制限

 

上で書いたように、企業には収益をあげる権利、もとい義務があります。

では、corporate right to pursue profitは、全てのケースに置いて許されるのでしょうか?

当然他の権利がそうであるように、corporate rightも特定の条件下で制限が発生します。基本的にはharm to othersのphraseが一番よく出てくるので、choiceのdebateと似たような発想が役にたつと思います。

 

企業活動は収益を求めますが、例えば川に水銀を流すことは基本的に許されていません。学校で習った水俣病ですね。

企業は有害物質を適切に処理するとコストがかかるので、本当は川に捨てたいのですが、それをやると他人に危害が及びます。

また、企業としては人を「できるだけ低い賃金で雇い、給料以外は一切与えない」というのが一番良いです。安くこき使いたいですから。しかし、実際には最低賃金は存在しますし、特定の場所(例えば高所)での業務では、会社はヘルメットなどの防具を用意する必要があります。

また、基本的に強制的にサービス残業などをさせることは禁止されています。現在であれば、「昇進したければ、育児休暇なんて馬鹿げたものは取るんじゃないぞ」なんて言おうものなら、訴訟を起こされて負けます。

 

このように、企業の営利活動と、労働者の保護や消費者の保護は多くの場合対立します。しかし、現在のliberal democracyでは労働者が安全に、搾取されずに働くことは「基本的人権」の1つですし、消費者も保護を受ける権利があります。

 

また、概論(1)でも書きましたが、法人は自助努力であげた収益に対して、全て所有権を持つわけではありません。

当然法人税は払わないと行けないので、そこでも権利の制限は受けます。

 

上記の例が綺麗にハマるわけではないですが、以下2つの動画がcorporate rightのclushを描いてるので、是非聞いてみてくださいな。

 

上の動画は他の記事でも紹介したことあるけど、とりあえず最初に二人を聞けば良いかと。余裕があれば全員。

下の動画は最初の二人を聞いてみてください。

 

Korea Australs 2011 Prelims Monash 1 vs Sydney 1 pt2 - YouTube

 

Australs 2013 SF USU1 vs Melbourne1 - YouTube

 

(4)その他の企業の問題は?

 

よくディベートで扱われるのは「多国籍企業(Multi National Corporation)」による、発展途上国への影響です。

これは1つの国にとどまらず多くの国で拠点などを持って活動する企業のことです。

日本で言えば、トヨタなどの車の会社、メガバン、三菱商事などの総合商社、衣類で言えばユニクロなどです。

その他に出てくる(よくdebateでdisられる)海外のMNCで言えばゴールドマンサックスなどの投資銀行、ナイキやユニリーバ、コカコーラなどのメーカー、BPなどの石油会社、ウォルマートなどですね。 

 

これらの企業は製品を作るときに海外に工場を置くことが多いです。

トヨタがタイに工場を持っているのは一例ですね。それは以下の理由から行われます。

 

(A)人件費が安い

(B)搾取しやすい

(C)発展途上国が媚びてくれて、恩恵を受けられる。

 

(A)人件費が安い

 

これは当然ですが、その国の人にどれくらいの給料を払うかは、その国の経済状況にもよります。日本で時給300円では到底暮らせませんが、ミャンマー最低賃金は2018年5月時点で47.5円です。大体50円最低賃金なのです。

日本のメーカーからしたら、工業高校卒の生徒に時給1200円+福利厚生費を払うのなら、ミャンマーなど東南アジアに工場を作って、50円で雇いたいわけです。

 

(B)搾取しやすい

発展途上国の特徴の1つとして、教育レベルが低いことがあげられます。また識字率も高くないため、契約書などの理解も乏しいことがあげられます。

また人権の意識や国内の裁判制度が整っていないため、会社側が労働者を搾取しても会社側に問題が発生する可能性、訴訟を起こされる可能性が低いということもあります。

つまり、労働者に払わなくては行けない賃金や提供しなければ行けない職場環境(working environment)をちょろまかしても問題になりにくいのです。

 

(C)発展途上国が媚びてくれて、恩恵を受けられる。

 MNCからしたら「どこかアフリカの安いところに工場を作りたいなぁ〜」と考えてますが、その恩恵を受けるのはMNCだけではありません。工場が建てられれば教育レベルの低い人たちに雇用がもたらされるので、アフリカ諸国も工場を建てて欲しいのです。

 

そのため、誘致合戦に似たような競争(competition)が発生します。

アフリカの諸国同士で「うちの国は環境法もゆるいし、労働者の権利もそこまで保証されてないよ!うちで工場建てたら安いよ!」とアピールをしあうわけです。

debateでは"race to the bottom"という表現がよく使われます。

 

底辺への競争 - Wikipedia

 

 

コカコーラ、インドで工場閉鎖。地下水の過剰使用で敗訴 | Transeed Group

 

これによって、競争の結果発展途上国が得ることのできる利益が、どんどん減っていくわけです。工場を建ててくれるのはいいが、それを呼び込むために法人税減税をして、MNCが環境を汚しまくっても文句を言わない・・・すると環境被害もおきます。

 

てか参考モーション貼ろうとしたらUTDS Motionサイト見れないんだけど!

激おこ。

 

またこれは先進国からしたらimmoralなことにもなります。

その国の労働者がどれだけ権利を保証されるべきか、環境をどこまで守らなければならないかは民主主義によって、投票の結果の政策によって決まります。

国内でビジネスを行う中小企業は否応無しにこれに従わざるを得ません。彼らは資本力もないので、国外でビジネスを行うことはできません。

なのに大企業は資金力を生かして、国民の民意を無視して、国内法から逃れて発展途上国のゆるい法律を搾取して儲けている、しかも発展途上国の人も搾取している・・・それはずるいんじゃない?とdisられるわけです。

 

これに関連するMotionは色々ありますが、関係するのは以下のMotionかと。

 

THW require multinational companies operating from the West to provide reasonable levels of education to their workforce in the third world(冬T 2012 多分R3

 

THBT governments of developing countries should not allow foreign large retailers like Wal-Mart, Costco etc. to advance into their market(冬T 2013 QF)

 

THW recognize the neccesity of sweatshops(australs 2011)

 

 

Korea Australs 2011 Prelims Sydney 1 vs NUS 1 pt1 - YouTube

(同じく最初の二人だけ聞けば良いかと。)

 

▼That Ain't Right(まともじゃない)企業、その名はナイキ : イノレコモンズのふた。

 

『ウォルマート』(2005)儲かるのは会社だけ。従業員の生活と地元経済は壊滅! 良い映画を褒める会。/ウェブリブログ

 

https://www.povertist.com/ja/sweatshop-poverty/

 

あともうちょっと知識を得たいと思う人は、ポールコリアーという発展経済学の専門家が描いてる本がとても参考になります。わんちゃん大学の図書館にあると思うので、読んでみてください(ICUの人は、以下の本を自分が学生のころ図書館に購買要請を出したのであると思います。ぜひ借りてみてね!)。

 

収奪の星:みすず書房

民主主義がアフリカ経済を殺す|日経BPブックナビ【公式サイト】

 

ポール・コリアー 最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か? | TED Talk Subtitles and Transcript | TED

 

あとはTHW boycott fast fashion(asian bridge 2018 R3)かな!

特に上2つは結構好みのMotionなので、ぜひ練習でもやってみてね。

 

そんな感じかな。大企業とMNCdisりはいくらでもできるけど、また個別のMotionで続きを描こうと思います。

 

じゃあの。