Chapter .6 - Equality ケース例 "THW ban private property"
おいっす。今回は後輩から上記のモーションについて質問が来たので、せっかくなのでここに記載しようかと。
全然どうでもいいけど、秋Tのモーションいいですね〜。
ブログ書く関係上大会のモーション大体見てるんだけど、ここ1年の大会のモーションの中ではぶっちぎりで良い気がする。まだ予選しか見てないけど。
個人的には、このモーションはモデルが相当面倒臭いし、難易度がチョベリバに高いので、練習でやるのは通常はオススメしません。
ラウンドが全員4年生とかならいいけど、1~2年生でこれやるとラウンドが崩壊気味になってあんまし練習にならないだろうし、もっと普通のモーションやった方が練習になると思います。
ただこのモーションで出てくる考え方は他のequality Motionでも使えると思うので、一回読んでみてください(質問してくれた人はごめんけど全く中身一緒なんだ!newsweekでも読んでいてくれ)。
いつも通り、ban motionは軸となるOppから考えるのが分かりやすいので、Oppから書きます。
Opp
(1)Why property right should be granted for individual
(2)how property right makes individual more happy
(3)how property right enriches society
(1)Why property right should be granted for individual
ここは少しぼやっとしますが、基本的にはprinciple的な話になるでしょう。
政府は多くの権利を国民に付与しますが、それを与えている理由は大きく2つあります。多分。
1つ目は、政府は個人の能力を信じて、個人に出来る限りの自由を与えるべき,
また自助努力によって得たものは努力を行なった個人に帰するべきだというものがあります。
THW ban inheritanceのOppでよく言われるやつですね。
またもう1つは、政府は国民と国全体の発展のために、自身の利益に叶うものは法として守るべき(法益、legal benefit)と言うのがあります。まぁふわっとした話なので、1つ目を言えばいいかと。
(2)how property right makes individual more happy
(2)と(3)はだいぶpraよりな話になります。
(2)では、私有財産制度は個人の幸せに不可欠だと言う話をしましょう。
個人が自分の生活に必要なものを購入できること、そして個人が所得を増やすための努力を行うために、incentiveが必要です。私有財産を認めることによって、人は仕事を頑張って収入を増やそうと思い、また得た財産によって欲しいものを欲しいだけ買うことができます。
もちろん所有額の制限を受けるのでフェラーリは買えませんが、必要なもの(食事、衣服、公共料金の支払い)は大体買えるでしょう。
逆に、私有財産制がなくなったら、自分で稼いだ金が自分のものにならないとしたらどうなるか?一番分かりやすいのは昔のガチ共産主義時代の中国の例でしょう。
昔は稲作が中心だったが、どれだけコメを作っても国に持って行かれるので、活動を改善する意識がありません。すると全体の生産量も上がらないし、虫害防除や効率的な稲作などの生産技術も生まれません。
これを是正するためにとある時点で、国に収める必要量以上に作れた場合は、家族の持分にして良いと確か毛沢東が国におふれを出しました。
すると頑張るincentiveが生まれるので、人々はものすごい頑張り始めて、家庭が豊かになりました。
まぁまとめると、私有財産制はincentiveとして重要であると言うことですね。
(3)how property right enriches society
また、このシステムを基盤として、個人がより頑張れば頑張るほど、新しい食物や商品が発明、浸透していき、また多く稼げば稼ぐほど納税額も増えます。サービスもより高品質に、低価格で供給されます。これは経済学概論の話と同じですね。
すると政府がそれを元に色々な投資(特定の産業への投資、インフラへの投資)を行えるため、さらに社会が発展していきます。これは全体に波及するので、社会が全体として発展していきます。
って感じですね。まぁ結構Oppは分かりやすいんじゃないかと思います。
はい、今度はGov行きます。おそらくディベーター的には「いや、Gov無理やろ・・・」って思うんじゃないかと思います。まぁ俺もきついとは思いますが、一応言うことはあります。
私有財産廃止なので、基本的にはマルクス的な発想になると思います。資本家によるプロレタリアート(労働者階級)搾取について議論して、「平等な社会を作ろう!」と論じるのが一番押しやすいでしょう。
キーワードは、Equalityです。
マルクスについて何もわからんって人は、まぁ基本は弱者の労働者かわいそう!金持ちを排除した平等な国を作ろうよ!って言った人なんですが、以下2つくらいは読んどいでください。
10分でわかるマルクスの資本論 -初心者にもわかりやすく解説- | クリプトピックス 仮想通貨と経済を解剖するブログ
(1)Why it is illegitimate to grant property right
(2)how property right makes people unhappy
(3)how property right makes society worse off
(1)Why it is illegitimate to grant property right
上記のOppのとこで書いたんですが、私有財産制度は2つの理由によって成り立っています。それぞれ以下のように潰しに行きます。
(A)国の利益(national interest)に叶うものを法で保護すべき
→property rightがない方が主権を持つ国民は幸せになる。よって、利益には叶わない。
中身は(2)と(3)で説明する。
(B)個人が自助努力によって得たものはその個人に帰する
→自助努力で得た所得なんてほとんどない。全部差別と詐欺。以下が理由。
以下の議論はTHW ban inheritanceにも似てますが、
そもそも特に金持ちが稼いだ金は、親から受け継いだ資産が多くを占める。かつ良い大学に入って良い会社に入れたのも、自助努力以上に、親から与えられた環境によるものが大きい。貧乏な家庭に生まれたら同じ努力でも1/10しか稼げないケースなんてザラになる。つまり、自助努力によるものはかなり少ない。
生まれ持ったものはそれが資産であれ、美しい容姿であれ、努力に関わらず人を利する。
また、金持ちは平等という理想を歌いながら政治献金や私選弁護士の利用を通じて、国の制度を有利に変えて、自分を守って行きます。
減税や福祉の削減を政治家に支持させることによって(しかも民主主義を歪めて)、貧困層の生活を圧迫し、彼らの生活の質を落とすことによって努力の価値を削減します。
また税負担を貧困層に不当に押し付けることによって自分の自助努力笑の取り分を守ります。
つまり、(マルクス的には)自助努力なんてのは嘘っぱちなのです。
金持ちは生まれ持ったものを使うことによって、自分の自助努力の価値を不当に高め、貧困層の自助努力の価値を削減するのです。
また、私有財産制度を担保することによって、黒人がマクドナルドで稼いだ金を自分のものにできるかもしれませんが、その私有財産制度を担保することで、本当だったらマックで稼ぐ金額の3倍くらい貰えたかもしれないのに、金持ちに持ってかれてしまっているんです。
じゃあない方が良いですよね。そもそもその時給1000円は正しく自助努力を反映してないし。
(2)how property right makes people unhappy
さて、次の話は「私有財産による幸せよりも、格差による不幸せの方がでかい」ってやつです。その前に、考えてほしいことが2つあります。
1つは、私有財産と格差の関係です。
私有財産制度は、必ず格差を産みます。むしろ政治家や市井の人は産んだ方が良いと思っています。
私有財産制度は個人の能力に応じて所得を配分するので、生まれ持った遺伝子や能力が優れている人はより稼ぎます。国は格差を是正するために累進課税制度などで多少修正はしますが、格差は必ず残りますね。
また、格差は個人が他者を羨み、もっと頑張ろうと思うincentiveにもなります。
なので多くの人は自然な格差はあってしかるべきだと思っています。
2つ目は、幸せの定義です。幸せは、何から生まれるでしょうか?家族?お金?これを一度考えることはとても大事です。
まぁ言っちゃうといろんな要素が絡むんですが、実は現在の理解では、所得は特定の形でのみ、個人に幸せを与えます。
現状では700,800万を超えると金銭による幸せは大きく増えなくなる。
これは、飢餓や寒さ、栄養失調などから自分を守るための最低限のニーズが満たされるからです。また一定水準のライフスタイルを一定期間送ると人はそれを「普通のこと」と認識し始めて、幸せが上昇せず、もとの状態に戻ってしまいます。
すると、収入が増加しても一時的には幸福が上昇するが、すぐに元に戻ってしまいます。
実は所得の向上は、軽いdrugのようなものと考えられます。
700万くらいまで行くとそれ以上は一時的な効果で、また元に戻ってしまい、また所得の上昇を追い求めるようになります。次のマリファナを求めるように。
ちなみにこの幸福度と所得の相関についてはダニエルカールマン(Thinking, fast and slowを書いた人)が論じているので、ぜひ読んでください。
第2部 これを超えると不幸になるらしい「年収900万円=最大幸福」説は本当か?(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
以上が所得の話です。もう1つは、幸せは「周りの環境に大きく影響される」って話です。
昔どっかの記事で読んで、出典忘れちゃったんですけど、インドのスラムで過ごしていた女性の話があります。
「彼女はより良い生活を求めて、インドの都会に出た。しかし、そこに出てから彼女はより不幸だと感じるようになった。」
その理由は、スラムにいた時はみんな似たように貧乏で、自分が他人に比べて不幸だと思わなかったから。しかし都会に出てくると、自分よりお金を持っていて、裕福な暮らしを送っている人はいっぱいいる。
しかも、貧乏な生まれで学歴もない彼女がそのクラスに入ることはほぼあり得ない。すると「自分は劣った人間である」と感じながら死ぬまで暮らすことになる。
まぁサマると、よりお金を稼ごうとする状態は、実はそこまで幸せではないってこと。
ほぼ全ての人々は「自分より幸せな暮らしをしている人がいる」と思って生き続けることになるし、envyすることになる。しかも収入が上がっても幸せはすぐに消えてしまう。
上では「健全な格差の元では、人々はより頑張り、所得を増やす。それは良いことだ」と書きましたが、中には格差があろうと所得が増えない人が大勢います。
貧困の家庭で生まれた、学歴のない黒人は頑張っても所得はなかなか増えません。
実際に格差がある中では、貧困層の生活は時代がたっても良くなりません。得をしているのは金持ちだけです。
トマ・ピケティの本でも書いてあったように、現在の先進国では資産運用や利ざやによる収入増の方が、労働所得の上昇率よりも大きいです。
社会全体の資産が一定とすると、金持ちが資産運用によってより多くの金を稼げば、貧困層はより少ないお金を稼ぐことになる。
実際に、1970年くらいからアメリカの平均中央所得は減少している(これは統計、物価水準などでだいぶ計算が変わりますが、上昇しているとしてもほとんど上昇していません。)。国がこれだけ発展しても金持ちの所得が増え過ぎれば貧困層への金の周りは「減って」しまうのです。
まぁサマると、
私有財産制度のもと、人々が所得を増やしてもそこまで幸せにならず、所得がずっと上がらない人々はずっと「格差による、目に見える自分の不幸」に悩まされることになります。
(3)how property right makes society worse off
はい、おそらくOppは「私有財産制度によって国が発展する」って言ってくるので、できればそこにclushさせに行きたいですね。
しかし、ここで難しいのは、発展に関しては正直Oppのが強いところです。なぜならincentive mechanismについてはOppのが言いやすいから。
なので、路線としては「Govでも社会は発展できる!」って言うより「Govでもかなり遅くなるけど、一応社会は発展する。でもそれ以前に、発展する必要あるの?」ってのがいいかと。
Oppとしては「これまでに作ってきたインフラや郵便のシステム、これからはコンピューターやAIは素晴らしいものになる」って言う路線でくると思います。それに対してGovは「確かにインフラや電気は国民を豊かにした。彼らを飢えや寒さから救った。でもその最低限以上のものはいいとしても、それ以上いるの?」って言うかなと。
一番わかりやすい例としてはwi-fiやsmartphoneかと。
日本では昔ガラケーを使っていて、その時は誰もそれを不便と感じていなかった。でもiphoneを使い始めて、それが当たり前になりました。
ここで面白いのは、スマホを使っている人にガラケーを使わせると「こんな不便なものを・・・」ってなるけど、iphoneだけ使っていると特段それを「便利!」って思わないことです。
上記に書いたように、新しいアイテムをゲットして最初は「すごい!」ってなるけど、そのうちそれが普遍化してくるとそれがstandardとなる。するとそこに幸せを感じなくなる。
つまり所得の相関の話と似ている部分があるんだけど、famineやpovertyをなくす発展は素晴らしいけど、それ以上はぶっちゃけあってもなくてもいんじゃない?って発想ですね。
ここは普通にやるとOppが強いので、contextをちゃんと踏まえて、最低限以上の発展はいらないって路線で行くかなと。
かつ。この話でもう一個あるのはそのtechnologyにaccessできる人はいいけど、accessできない人にとっては悲しいだけでなくharmになると言うこと。
technologyにaccessできる人がどんどんadvantageを手に入れていくのに、金のない人は「自分はそれにアクセスできないかわいそうな人」って思いながら生きていく。
すると帰結として
「Oppは発展が素晴らしいと言うけど、この先進国において本当に発展は人々を幸せにしているの?smartphoneとtwitterは本当に人々を幸せにしたの?isnt it just about big tech exploiting human deficieny and making us degitally addicted, for their profit?」ってごねましょう。
あとはGovで考えないと行けないのはOppの一番強い部分である「お金を増やすために頑張る」incentiveをどうGovのケースで生み出すかですね。
路線としては「いや、増やさんで良いわ!」って言いたいけど、そのbenefitはそこそこ出ちゃうので、上にも書いたように
「増やさん方がいいけど、even if増やした方が良いとしても、こっちでも増える」って言っておきましょう。
方法としてはGovのmodelでガチガチに作って「頑張った人には政府から勲章を与える、あとは国で利他性をvirtueとして教育としてごり押して、生徒に頑張るincentiveを与える」とかかな。
人間が仕事を頑張るmotivationとしてお金以外にも色々ある(他者からの承認、自己実現等)と言った上で、政府のnarrativeとeducationによってそれを最大限に強化することでfinancial rewardなくても人々が頑張るようにする!って頑張るかな。
するとGovの世界でも人々は最低限サービスを提供したりcommodity goodを作るのに頑張るから大丈夫!って言うかなと。
はい、こんな感じです。
clushとしてはInequalityがどういう影響を与えるかってとこですね。
社会では格差がなんとなく問題って扱いを受けますが、格差は実際に「harm」を産みます。
不幸な人々を惨めな気持ちにし、金持ちに不当なpolitical powerを与えます。
それを踏まえてお互いにcaseを作ってみてください。
ブレイクした人は、秋ティー頑張ってね〜。
じゃあの。