夏セミンゴ2018

「このグループに関して」 元は夏セミ2016の中級クラスの部屋です。 ここはディベートに関する資料を適当に貼っていくところです。 ここに書いてあるものは誰でも編集できるので、好きにコピペするなりして使ってください。また、誰でもまだ入ってない人を招待できるので、自大とかで資料見たいって人がいたら好きに招待してあげてください。使えそうだと思ったら、後輩にばらまいてもらっても大丈夫です。 何か質問とか要望があれば、コメントしてちょ。何でも答えるよ!多分!

Chapter.5 Politics - ケース例 "THW ban race based parties"

THW ban race based parties

 

今回はpoliticsのMotionで、わりかし出るpartyをbanするMotionについて書こうかと思います。以下では基本的にraceとありますが、ethnicity込みで人種/民族を対象として書きます。

このMotionはかなりいい練習になるし、マターも結構あるからBP練習にもぴったし!ぜひやってみてね。

 

Politics Motionで意識して欲しいのは、多くのフェーズが存在するのでいくつかに分けてargumentを考えることで、より分析も深まるしextentionも出しやすくなります。

大きなphaseとしては

(A)選挙の時

(B)政権を運営し、通常通り政治を行っているとき

の2つです。

  

Gov

 

(1)why race based party suit to the criteria of limiting freedom of association

(2)why race based party worsen racial/ethnic tention

(3)why banning race based party lessens racial/ethnic tention

 

(1)why race based party suit to the criteria of limiting freedom of association

 

政党の正当性は、集会・結社の自由(freedom of association)から来ています。

基本的には表現の自由の拡張したものと考えられますが、自分自身が持つ意見・政治的信条・経済政策に対する要望を一人で言うのではなく、グループを作って主張する権利です。誰もが政党や集団を作って、他の人々は自由に加入・脱退できます。

グループを作り、集会を行ったり政党として法律作成に関わることで自分の意志をより反映し、世界に広めることができます。

例えば一人で憲法9条に反対する!と言っても限界がありますが、政党を作ってビラを配る人、政治家になる人、組織を効率的に運営して資金調達をする人などに分業すればもっと多くのエリアに自分の意見を広めることもできます。さらにそれを多くの人が行えば市民もより多くの意見に触れることができるので、より良い判断ができるようになります。表現の自由、市民の知る権利(right to know)、民主主義を支えるものとして重要な権利です。

 

しかし、その他の権利と同じように無条件で使えるわけではありません。

他者とその権利を侵害してはならないという条件があり、今回の路線としては

「race base partyはその性質から人種/民族対立を悪化させ、差別を増長させる。彼らの活動によって人種/民族というunchangableなcharacterに対するharmが増加してしまい、それは許されることではない。」まぁ超大きな枠で言えばharm to othersですね。

 

(2)why race based party worsen racial/ethnic tention

 

ここでは人種/民族政党の特徴、及びその活動から民族対立が悪化することを描く必要があります。

民族政党っていうとイメージが湧かないかと思いますが、民族政党は発展途上国が主なフィールドです。分かりやすいのはアフリカの国でケニアなどでしょう。民族によって人口が多い/少ないや所得の違い、民族に基づく思想・文化の違い、もともとあった対立などがあります。

 

政党は自分の政治/経済思想に基づいて法律を制定し、外交を行います。民族政党のUniquenessとしては一般的な政治・経済政策も打ち出しますが、自分たちの民族が有利になる政策を打ち出すことを狙います。またもう1つの特徴として支持基盤が特定の民族に大きく偏っているため、自分たちの民族に有利になるように法律を制定するincentiveが強く働きます。全体のパイを増やすための経済政策などと違って、一部の民族を優遇するような政策は必然的に他民族から資源を奪うことになる、仮にならなかったとしても不公平感を強く生みます。

 

上にも書いたように、まずは選挙時点のことから考えましょう。

選挙で大事なのはお互いの政策・候補者のアピール、及びに他政党をdisることです。

通常の政党同士であれば、お互いの移民政策(immigration policy)や税制改革(tax reform)について議論を重ねますが、自民族に対してのappealは、どうしても「他の民族はこういう風に優遇されている!我々は歴史的背景によりこういう負債を背負っていて、他民族からの被害を受けている!誇りある民族として云々・・・」と、自民族を持ち上げ他民族を下げると言ったspeechになりがちです。他民族をひとくくりにしてdisルため、そのpartyのrallyやmeetingでは、他民族に対する嫌悪感がどうしても高まってしまいます。

また一般市民もお互いの政策について議論をしようにも、経済政策のように「全体にとってどちらがいいか?」という話にはなりにくく、どちらかの民族が得をすればどちらかの民族が損をすると言った政策に対し建設的な議論はできません。また「あいつはあの民族だからダメ」と言った主張は裏にロジックがないです。ただの主張なため建設的な議論になりにくく、また背景にある思想や文化も固有のものとして違うため、ロジックをベースに議論することが難しくなります。

つまり、中和ができないのです。

 

また、民族政党が強いような国は基本自分の民族の政党に入れるため、与党になる政党の固定化が起きてしまいます。人口比率でどうしても決まってしまう部分が多いからです。

すると建設的に議論をしようがしまいが与党になる政党は決まってしまうため、野党側の民族は不満を持ちますし、そもそも民主主義に対しての信頼が薄くなります。

結果、選挙をしてもお互いに不満を増やしたまま、同じような政党が与党に選ばれることになってしまいます。

 

次に政権を運営し、通常通り政治を行っているときです。

法律の制定や外交を担うのは与党(ruling party)です。人口の最多を占める民族が政治を行うため、野党が意見を述べることは非常に難しくなります。また、Politics Motionでは頻繁に出てくる妥協と調整(concession and compromise)についてです。

例えば与党が50%しか議席を締めておらず、法案の制定には60%以上の賛成が必要だとします。多くの場合国会では法律を修正したり野党の要望を一部聞き入れる代わりに野党に賛成票を入れてもらうことがあります。与党は多少旨味は減ったものの、法案を通すことができますし、野党は自分たちが押す別の法案の際に与党から賛成票をもらえるので通しやすくなります。

しかし、民族政党ではお互いに相手の民族に対して友好的でない場合、それが難しくなります。上記に挙げたように思想や文化的な背景も違えば、相手に恩恵を与える土壌がない場合、野党案に妥協することは支持者の目にはあまりよく映りません。自分たちがあまり好いていない民族に恩恵が行くくらいなら、強硬な態度を取った方が支持者の好感度は上がるでしょう。次の選挙のことを考えると妥協はしづらいです。

また仮に他の民族と協調路線を取ったとしても、すると複数の民族が与党的な扱いに、その他の民族が野党的なpositionになり、その間でのdisり合いになります。大きなdisり合いの構造としては変わりません。

また、これのもう1つの問題として「腐敗(corruption)」が起きやすいです。通常の政治であれば、経済政策で景気がよくならなかったり、政治家がスキャンダルを起こせば次の選挙で負けやすくなります。しかし民族政治では基本自分の民族に投票します。

すると、自分の民族に恩恵を絶対にくれない他民族政党よりは、多少腐敗していても自分のところに恩恵をくれる民族政党に投票をすることになります。すると全体的に腐敗が次の選挙に悪影響を及ぼしづらいため、どの政党も腐敗を行いやすくなります。

この話extentionで使えそうじゃない?OG/OOが民族対立の話にかまけてる時にCGで「全体的に政治が腐敗する話しまーす。」って言えば絶対被らない。かもしれない。

 

結論として、融和がほとんど起きず、次の選挙でもdisり合いのネタに使われます。「国が停滞してるのは与党の民族のせいだ。あいつらは協力の概念のかけらもない」なんて言ってまた民族対立の意識が悪化してしまいます。

また民族対立ではなくてもそもそも民主主義が議論ではなく民族の人口比率によって決まってしまうため、機能していません。すると民主主義への信頼が薄くなって投票率が下がってしまったり、他民族へのヘイトから暴力に出る可能性も上がってしまいます。

的なのがharmかなと。

 

今回のdebateはアフリカの国が多く該当するかと思いますが、以下の記事がケニアのよく実態を表しているかと。

ケニアにおける「選挙をめぐる暴力」:「勝てば官軍」の選挙がもつ危険性(六辻彰二) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

このMotionで一番難しいのは、race based partyが他のpartyとどう違うのか?と言った点です。

というのも、全てのpartyは多かれ少なかれ、他政党に対してexclusiveだからです。アメリカで言えば、税金は悪だ!と信じ込んでしまっている人に対して民主党オバマケアは絶対に妥協不可能な点でしょう。また中絶の権利についても信仰が関わってくるため、妥協は相当に難しいです。かつdiscourseについても「お前らは殺人者だ!」なんて言ってる状況でrational discourseとはとても言いがたい状態です。

しかし、明らかに程度が違うのは、経済政策などはお互いに「全国民に取ってこれが良い!」と言う点です。議論の余地がありますし、相手の人種や性別を攻撃するわけではなくあくまで政策批判になるので、不快度がまるで変わります。人種などはひとくくりにされがちですし、その裏にある思想や文化への愛着も程度が変わります。かつ、人種間の批判はどうしても「自分をあげて相手を下げる」ことになるので、とある民族からすると「あいつらは自分勝手に、自分たちの利益のためだけに政治を行う」と見えてしまうのです。元々対立がある可能性もあるので、かなりsensitiveな話題になってしまうのです。

なのでGovはOppから「どの政党もある程度は妥協不可能な要素があるよ。Exclusivityがかなり曖昧じゃない?どこで線を引くの?」と言われると、ちゃんと答えないと行けません。race/ethnicと言う固有のものを扱うのが違うこと、そして発展途上国のコンテクストを踏まえてextentではあるけれど、そのextentが明らかに違うときちんと説明しましょう。

 

ただ、他の要素の中でも宗教はかなり近いものを持ちますし、同様の問題を抱えることが多いです。似たようなproblemが出るのが以下のMotionでしょう。

 

THW ban religious political parties(Icho Cup 2014 GF)

  

あと直接は関係ないですが、上の記事を書いた六辻さんはアフリカを中心とした国際関係の記事を書いていて、ディベートの参考になるものが多いです。ブックマークしても良いかと。あとはtwitterもやってるので、フォローするといいかと。@MUTSUJI_Shoji

六辻彰二の記事一覧 - 個人 - Yahoo!ニュース

 

(3)why banning race based party lessens racial/ethnic tention

 

上にも書きましたが、GovのA.P.でちょっと大変なのはS.Q.との違い、Exclusivityを出すことです。A.P. では代わりにどういう政党が出てきて、どういう政策を打ち出して、どういう政党が与党になるかをきちんと描きましょう。

A.P.では民族を背景にした政党が禁止されますし、特定の民族を支持するような政策を推し進めることも禁止されます。対立を生むようなアファーマティブアクションなどを推し進めることも禁止されるでしょう。すると、新しい政党は経済的思想や左・右、あるいは緑の党のように環境に対するスタンスをベースとした政党ができるでしょう。

 

もちろんそこでも投票者の中で偏りは出るでしょう。アメリカの民主党共和党で、いわゆるマイノリティと呼ばれる黒人やヒスパニックが民主党に偏るのに対し、金持ちの白人は共和党に投票するという構図はありそうです。

しかし、その政策の中で「黒人の利益が〜」っていうことはなくなります。つまり、その政治は「肌の色/人種を意識しない」政治により近いものになります。

かつ、お互いにヘイトが減った状況下ならdiscourseもよりうまく行くでしょう。経済政策や税金の増減について、「あいつは何々族だから言うことは全て信用しない」なんてことも減るので、discourseがやりやすくなるのかと。

 

Opp

 

(1)why race based party should be protected under freedom of association

(2)why race based party is essential to reflect will of citizens based on race/ethnicity, and how that will promote racial equality.

 

(1)why race based party should be protected under freedom of association

 

上記で書いたように、集会・結社の自由は基本的人権として重要なものです。

それの重要性、政治に与えるpositiveな影響をきちんと話した上で、これらは

「人種問題を悪化させるものではなく、人種問題について議論をし、改善して行く上でessentialなものだ」と言いましょう。

 

なので、このdebateの大きなclushとしては

「元々人種の問題がある国で、このpartyのexistenceが解決に働くのか、悪化させるのか」

ってものになります。

 

ちなみにこのwhy xxx is essential to ~ってのはよくNUSのImranが使っていたphraseですね。重要性がそれっぽく伝わるっぽいので、俺もよく好きでsignpostで使ってました。

 

imranは色々動画がありますが、興味がある人はぜひ一回見てみてください。

 

THBT Western Feminists Should Not Get Involved in the Battles of Women in Muslim Countries

(SMU hammers 2015 QF)

SMU Hammers 2015 Open Quarters Imran Rahim (LO) - YouTube

 

(2)why race based party is essential to reflect will of citizens based on race/ethnicity, and how that will promote racial equality.

 

ここでOppは、元々「人種問題がある」って言うContextを踏まえて、それを議論し、解決する必要があるというところから始めましょう。

特にアフリカの国では元々植民地主義(colonialism)の影響から、一部の人種が既得権益を独占し、他の民族が圧政や貧困を強いられたと言うケースが多くあります。

そのまま国の政治や経済が一部の民族に牛耳られているケースもあるので、そのまま行くと差別がなくなる兆しはありません。それどころか、そのまま放置すると政治・経済を牛耳る民族の権力・経済力が増加していきます。

THW invade zimbabweのGov的な発想になりますが、「S.Q.を放置して行くとどんどん悪化して行く」って感じのphraseですね。

 

ディベートのリサーチ(特にIRや発展途上国について)をするとよくありますが、まぁーヨーロッパとアメリカはすごいね!畜生とはこのこと笑

なぜ「世界」は80万人の死を防ぐことが出来なかったのか? ルワンダ虐殺から22年(前半)

 

その時に、特に虐げられた民族が集まって、集団として効率的にその問題を提起し、議論をして行くことは重要です。自分たちが政治的に保証されるべき権利がないことを訴えて、自分たちの民族を代表する政治家を法律制定に関わらせることは重要でしょう。

 

上記では「民族間の対立が政治論争で激化して行く」とGovに言われると書きましたが、それに対しては「民族政党の本質的(intrinsic)な問題ではなく、お互いのキャンペーンに問題がある」とrefuteしましょう。

alternativeとしては、お互いの民族の誹謗中傷につながるようなキャンペーンをdiscourageするなど適当に言えばいいかと。

その中で、人種に関する法律(差別禁止に関する法律、民族への補償(compensation)、アファーマティブアクション)などができたらいいなと言いましょう。

S.Q.でむしろ民族をタブー視して触れない態度を取ると、一見民族問題がないかに思えますが、実はS.Q.の差別や対立を放置し、悪化しているだけです。それを少なくても議論の場に持ち上げることが大事でしょう。

 

また、上記では「政党間の協力が難しい」ってありましたが、合理的に考えれば野党が議席数の多い与党に対抗するために連合を組むことはありえます。その際には少数派の民族に恩恵はありますよね。可能性があるのなら、benefitの可能性もあるし、仮に連合しなくてもpartyがないよりは良いでしょう。

 

これに加えて、戦略的な視点で「burdenの低い、それっぽいbenefit」を出すとOppでだいぶ勝ちやすいと思います。

 

ただ、politic motionの難しいところはVotingの結果が分からないんですよね。race based partyがある選挙で結果どうなるか、そのあとにどういう法律が制定されるかはその時々によって変わるので、「これがpraのharmです!」って一概に言いづらいんですよね。

なので前回のbroadcasting of mental illness of criminalでも似たようなこと書きましたが、民族対立のclushで、「水かけになって、勝ちづらそうだな〜」って思ったら、

「民主主義ってのは、国民が議論を重ねた上で自分の意志をもっともrepresentしてくれるpartyにvoteすることだ。そのためにはできる限り多くの、違うideologyを持ったpartyがあった方がよりrepresentationができる。人々の中には自民族の問題に強い関心があって、race based partyがother partyに比べてもっともwillをreflectしてくれるなら、民主主義のために存在すべきだ!」って感じでパッケージングすると勝ちやすいかと。

これは民主主義の前提さえ喋っちゃえば、あとは自明な「多様性(diversity)」アーギュメント喋るだけでpointが立ちます。困った時にぜひ使ってください。

ちなみにこれはdemocracyとvotingが関わるmotionにかなり使えます。上のethnic conflictのclushについては、最悪勝てんと思ったら適当にrefuteしてお茶を濁しましょう。

 

だいたい何かをbanしたりrestrictしたりするMotionって、Oppの方で「まぁいいことがあるかも分からんけど、悪そうなこともないし、とりあえずあったら良いことあるかもしれんから残してもよくない?」って日系企業みたいなargumentで勝てるから有利だったりするんですよね。適当なchoiceとかdemocracyみたいなprinciple立ててそれっぽく喋れるので。

 

 

そんな感じかな!

ちなみにこの手の民族政治関連でググったら、ムッチャ出てきます。発展途上国について詳しくなりたい方は、一回ググってみてくださいな。

 

これはその中でdebateに使えそうな奴です。長いけど、ためになりそうだから読んでみてね〜

多民族社会と民族政党 ―民族政治をこえて 金丸裕志

https://wayo.repo.nii.ac.jp/index.php?action=pages_view_main&active_action=repository_action_common_download&item_id=957&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1&page_id=35&block_id=44

 

そんな感じかな。じゃあの。